谷底 の 冷たい 気流 は 音 を 集め、 斜面 の 植生 が 高音 を 柔らげ、 岩棚 が 低音 を 太らせる。 早朝 と 夕暮れ の 温度差 が 伝播 を 助け、 一声 が ありえない 距離 を 跳ぶ。 立つ 向き、 口 の 角度、 胸 の 開き を 少し 変え、 自然 の アンプ を 身体 と 合奏 させよう。
新雪 は ささやき を 包み、 圧雪 は 金属 的 な 輝き を 加える。 石灰岩 の 面 は 倍音 を 引き出し、 断層 の 隙間 は 余韻 を 編む。 同じ 声 でも 季節 と 向き で まるで 別人 の 色。 足もと の 触感 と 響き を 結び、 季節 の スペクトル を 自分 の ノート に 記そう。
速く 歩けば 風切り音 が 前景 を 奪い、 ゆっくり 止まれば 遠景 が 立ち現れる。 十歩 ごと の 休止、 三呼吸 の 静止、 一声 の 放射。 速度 と 呼吸 を 楽譜 に 見立て、 斜面 の 勾配 と 合わせて 変奏 すると、 同じ 道 でも 音景 は 無限。 試して、 メモ し、 また 試そう。